17歳の不良と6歳の殺し屋
ぶっ潰せ!馬鹿親子(前編)
今夜の月は満月だ。
しかも、異常気象のような凍てつく寒さであった。
一人の男が道を走っていく。
荒い息遣いが心地の良い眠りへと誘う静けさの中に響く。
その走る速度に長いコートがヒラヒラと舞っていく、男の少し長めの髪は濡れてしっとりと男の肌に張り付いている。
額に浮き出る汗はタラリと頬を伝い顎へと地へ落ちていく。
「ちっきしょう…おりゃあ、もう歳なんだぞ」
無精髭の生えた顎を引きつらせてニヤリと笑う。
そしてポケットから携帯を取り出す。
「……よう、」
「随分遅い連絡ね。少々息も荒いようだけど、撃たれたの?」
高い声。凛とした、小鳥のような美しい女の声が受話器から返って来た。
「ハ、まさか」