17歳の不良と6歳の殺し屋
私は翡翠とは違った冷めた汗を垂らす。心臓の音が蘇って来たかの様に鳴り響く。


「勝負あった。って所かしら?」

「……」

何も言い返せないのが酷く悔しい。
段々呼吸が整ってきた翡翠は屈んでいた背筋をスッと延ばしてピシリと立っていた。
私は屈んだまま、翡翠を睨みつける。
瞬間、また銃声が鳴り響いた。
その銃弾は私のナイフの刃に辺り、床に落ちた。
流石の私も、銃弾をアニメの様にナイフで叩き落す事はできない。偶然だ。

「へー。やっぱり流石ね。銃弾がナイフに当たっても、ナイフが床に落ちないなんて」

訂正しておく。偶然ではなかった。


恐らく、翡翠は相当キレている。
さっさと済ませようとした仕事が思いの外長引いて、自分も負傷をしたのだから当たり前だろう。

これは、簡単には殺してくれないな。
私の冷静な解析も何も役に立たないが、何も考えないよりはましだった。
疲れと殺気のせいで今にも吐き出してしまいそうだったからだ。


「情報が無いというのは本当に不便だって今日改めて思い知らされたわ」

喋る翡翠にどこか隙を探るが、やはりそんな所はどこにもない。
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