17歳の不良と6歳の殺し屋
「ねぇ…」

私の声がこの緊迫した空気に流れ込む。
翡翠はとても冷たい眼をしていた。

「一つ、言っておくけど。もう騙されないわよ?」

私はわかっているとでも言うように頷く。内心舌打ちをしていたが。

「依頼は、私だけ?」

私の言葉に翡翠は小首を傾げた。

「殺すように言われたのは、私だけ?」

再度説いた言葉に翡翠は淡々と答える。

「殺すように言われたのはお前だけ。母親の方は必要とあらば」

翡翠は言いながらうざったそうに髪を掻き上げて続ける。

「もう、いいでしょう?さっさと終わらせるわよ」

「私の死体はどうするのさ」

「お前の知った事じゃない。」

「知りたい」

「お前…しつこいよ…」

私は頭の中で(だったら、問答無用に私を撃てばいいのに…)と思った。
こいつは一々私の言葉に耳を傾けている。…本当に殺し屋なのか?


ほんの少しの沈黙が訪れた。
私はこの少女について考えていた。
顔が上げられず、彼女の表情は伺えない。
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