17歳の不良と6歳の殺し屋
ポタリ…


なんだか少しぬめった液体の音がする。


ポタリ…ポタリ…

私の視線が床に…翡翠の足元に移動する。

「…あ……」

消え入りそうな声を上げた。そこには小さな…赤い水溜りがあった。
私は先ほど握り締められたナイフを思い出した。
あんなに衝撃的な事だったというのに、
そして、さらに自分の手にもヌルリとした感触が伝わってきた。それはナイフについた大量の血液。

少し乾き始めた液体がヌルヌルと固形体になりつつあった。

「何?そんなアホ面して」

翡翠が怪訝な顔を向けて来た。

私は、どんな顔をしているんだろう?

「痛く、ないの?ソレ」

翡翠は途端にポカンとした顔になった。
顔に『はぁ?何を言ってるのコイツ』と書かれているのがわかる。

「こんな掠り傷、痛いわけないでしょ。血は多いけど。」

当たり前の様に彼女は言う。

(やっぱ、生きてる世界が違う)
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