17歳の不良と6歳の殺し屋
私は、半分以上は既に諦めていた。
自分の命を守る事を。

(それに、母さんには手を出す気ないみたいだし…)


こんな時まであのダメ母を心配する自分に嫌気がさして、一つ溜息を吐いた。
そして、静かに瞼を下ろす。

ほんの少し、翡翠が動く気配がした。

瞼の裏を見ながら、私は思う。
なんとなく、翡翠は殺しが好きじゃないんじゃないかなと思った。
きっと、仕事だから仕方なくやっているんだ。
それか、彼女は“天使”なのかもしれない。
彼女が正体を現した時、私は天使みたいだとアホの様に思った。

綺麗だとか、そういう事でなく。
このくだらない世界から、私を解放してくれる存在。
そう、思ったのだ。


今、まさに…その瞬間。



「私は、神など信じない。」

凛とした声が頭上から降りてくる。

「だが、若くして死する哀れな魂に…せめてもの安らかな眠りを…」

カチャリとハンマーを上げる音が聞こえる…

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