17歳の不良と6歳の殺し屋
カン、カンカン…


『ん?』

瞬間、余りに似つかわしくない音が玄関から、聞こえてきた。
そして、二人揃ってその方向を向く。
そこには缶コーヒーにレバーが付いたようなものが転がってきていた。

「…これって…まさか…」

私はこれによーく似たモノを知っている。

「手榴…」

「伏せろ!雫っ!!」

私の言葉と体に翡翠が覆いかぶさってきた。

「へ?」

私は、これまでの人生で一番情けない声が出てしまった。

そして、手榴弾から大量の煙が噴出した。

(爆発するーー!!)

私はギュッと目を瞑った。


『………』


…しない。
煙はガンガン出てるのに、一向に爆発しない。

「ちっ」

私に覆いかぶさっていた翡翠が舌打ちをした。
なんだ?と思って見上げると煙のせいで顔がまったく見えない。そこで翡翠は突然私の顔面にハンカチを押し付けて来た。

「うわ!」

「それで、なるべくガスを吸うのを押さえてて…行くよ」

翡翠は私にハンカチを渡して、いつのまにかゴーグルをして私の手を引いていた。

(おかしい…私、さっき殺されるんじゃなかったのか?)

今この状況…明らかに助けられてる。
私は疑問を持ちつつも翡翠の手に引かれるまま付いて言った。
というか、そんな事はもう考える余裕がなかった。
煙のせいで目や喉が激しく痛い。涙なんか涙腺が壊れたんじゃないかってくらいに出てきた。鼻水までも出てきてる感じがする。

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