17歳の不良と6歳の殺し屋
修行は随分と激しいものだったが、雫は文句程嫌な様子はなく寧ろ楽しそうにこなして行った。
堅気では無理だと即決してしまうような事でも雫は淡々とこなしていった。
それに三人はほんの少し驚いて、すぐにやっぱりなと小さく笑った。
そうしてその修行が早くも一通り終えた所で事件は起こった。

夜の出来事だ。
いつものようにまったりとくつろぐ三人と鍋をかき回している雫。
翡翠は紅茶に口をつけて、ハリスは新聞を読み、コルダが整備をしていた時だ。
ドンッと重力がいきなりのし上がってきたかのような、そんな感覚に襲われた。


「…翡翠」

「敵ね」


雫が火を止めて、翡翠に近づくと、シグを手渡された。

「数は40って所ね」

「この俺達にその数はすくねーんじゃねぇ?」

ハリスは服にナイフを仕込みながらのんびりとした口調で言った。
その口ぶりからたいした事のない奴らだと言っているようだ。

「向こうの情報不足でしょ。」

「だろうな」

敵はこの家から随分離れた場所にいる。
これだけ離れていても存在がわかるくらい気配が出っ放しなのだからハリスの言うとおり、下っ端だろうと雫も踏んでいた。

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