17歳の不良と6歳の殺し屋
翡翠は先ほどとは別人のように瞳をギラつかせていた。相当ご立腹のようだ。
二人が話しているテーマは翡翠の持つ銃の先についている少し太めの筒のようなモノの事らしい。

「あんまり大きいと扱いにくいのよ」

「鍛え方がたりねーんだろ」

すっかり、私は蚊帳の外にされていた。

母はまだ帰って来ない。今何時なんだろう…とどうでもいい事を考えてしまう。

「別にいいでしょ、これくらいに音が抑えられれば充分よ」

「だから、お前は甘いんだって…ま、とりあえず」

ハリスは私に視線を向けた。

「おーおー気の強そうな譲ちゃんだねぇ。で、コイツ消さねーのか?」

ハリスはポケットから何かを取り出す。
それは手榴弾だとすぐにわかった。さっき見たのと違うという事から私が知っている一般的なものなのだろう。

「ちょっと、私の獲物なんだけど」

「いいだろ、別に。仕事が終われば」


「ハリス…」


瞬間、鳥肌が立った。
ゾクッと下から上に駆け巡る何か。ハリスも同じように感じ取ったようで顔が青ざめている。

見れば、翡翠は銃口をハリスに向けていた。
その瞳は冷たく細められている。
殺戮的な瞳だ。


「お、おい、ハニ~!そのサイレンサーじゃ外は不味いだろ?」

冷や汗を掻きつつ、引きつった笑みを零すハリス。それに翡翠はニヤリと笑う。

「お前のその“おもちゃ”よりはマシだよ」

翡翠は静かにハンマーを引いた。

「わわわわわ、わかった!俺が悪かった!!そんな怒る事ないだろ、翡翠…!ほんのジョークだって!!」

涙目になって訴える彼を見ると、翡翠はフンッと呆れたように銃を引っ込めた。
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