17歳の不良と6歳の殺し屋
「はぁ…」
ハリスは心底安心したのか肩からだらっと溜息をついた。
そして、また気を取り直して立ち上がると、むくれた様子で話してきた。
「んで、その子はどうするんだ?」
「そんなもん、片付けるにきま…」
翡翠は言葉を途中で切ると視線をハリスから逸らした。私とハリスが何事かと思い翡翠と同じ方向を向く。
すると、遠くの方からブロロロロッ…と、バイクの派手なエンジン音が聞こえて来た。
それは、一台ではなく何台もの音が重なっていた。
翡翠は目にも止まらぬ速さでサッと銃をしまった。速すぎてどこにしまったのかわからなかった。
一台の一番目立つバイクが先頭を切ってこちらに向って来ていた。
そのバイクには短髪で金髪の下品な顔をした細っこい男が乗っていた。
「よう~~!しずくちゃぁ~ん!元気ぃ?」
裏返った声が気持ち悪い。
「誰?」
私はど太い声を出した。それは私の機嫌の悪さを表していた。
男のバイクは私達の目の前に止まり、残りのバイクに乗ったヤロー共がぐるっと円を描くように囲っていた。
私の声と姿を確認するなり、金髪の男はビキッと音をたてて額に皺を寄せていた。
「おい!なんだよっ!全然くたばってねぇじゃねーか!!」
さらに唾液を飛ばしながら叫んでいる。不快感全快である。
「あれが、お前を殺す原因」
私が嫌な顔をしているとポソリと翡翠が呟いた。
「お前は覚えてるかは知らないけど、前にお前はアレをボコッて。アレの親がヤクザって奴だったって事。」
(成る程…)
私は要約、事の発端を理解した。