17歳の不良と6歳の殺し屋

準備運動

同時に叫んだ二人がザッと音を立てて足を踏み込む。
低く屈んで相手に飛びつく私とは対照的に翡翠は高く飛び上がっていた。
クロスした二本の手には銃が片方づつ握られている。

「懺悔なさい」

彼女の言葉と同時に撃ち放たれる銃弾。滑らかな動きで上手く私の傍に銃弾は来ない。
彼らがこの銃撃にうろたえる隙に次から次えと私の拳の餌食になっていく。

「うわあああ!!」

一人の男が我武者羅に私の背中にしがみ付いて来た。
それを見た、別の男が私の目の前に現れ腹目掛けてパンチをしてくる。

「うがっ!」

その男の顔に私の足がめり込む。足をそのままに思いきり蹴飛ばし、顔に靴痕がついた男は気絶した。男が倒れる時にカラカラと音がした。それは蹴った時に折れた男の歯だ。
倒れた男にビビッた周りの男達は途端に動きが鈍くなる。そこへドオオオンッと音と共に大きな竜巻の様な突風が吹き荒れた。私の周りの男達が吹き飛んでいく。
私が腕で飛んで来る障害物を防いでいるとその風の先にハリスが呑気な笑顔を浮かべて手を振っていた。
翡翠の方はピョンピョンと飛び回って、まるで弄ぶように男達の間を通っている。

「おい!何やってんだ!!テメーら!」

叫ぶ金髪馬鹿息子。そこに煩いとばかりに翡翠が顔面を踏んづけて飛び上がった。
先ほど私がやった様に靴痕がついた奴の顔を見て思わず私は噴出してしまった。
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