17歳の不良と6歳の殺し屋

「何?雫もしかして怖いのかしら?」

翡翠の挑戦染みた視線に雫は口を尖らせた。

「そ、そういうんじゃ……ないけど……。そんなに上手くいくもんなの?」

「いくわ」

随分ハッキリと言ってしまう。翡翠に雫はまた驚きを隠せなかった。

「お前も見たと思うけど、あの美学の欠片の無い森での出来事」

森でも悲惨な光景を思い出し、雫は顔を顰めた。脳裏に浮かぶのは焼けて、血だらけの少女。

「何故。あんな事をしたかわかる?」

「わかるわけないでしょ……」

そっぽを向く雫に翡翠は気にする様子もなく話を続けた。

「戦力が無いからよ」

「戦力?」

「そうよ」

首を傾げる雫に翡翠は銃を置いてわかりやすく説明しだした。

「あれはね。とてもめんどくさい事をしているのよ。ああいった人間を集めるのは本当に面倒な事なの。それをわざわざ集めてあの場に置いたのはね。戦う力が弱い証拠。力があるならば、武器を集めてチームワークでも組んで私たちをジワジワと追いめて来るのが一番確実で楽な方法。でもそれをとらなかった。という事は……」


「相手に、その力がなかったから」


「そういう事。あと、まともな人間なら、あの場では雫みたいに気後れするものだし…本当に厭らしいやり方なのよ」

「それにな」

横からハリスが出て来ると、ニッと人の悪い笑みを浮かべた。

「保険もちゃ~んとやってあるんだ」

「保険?」

その言葉に翡翠が付け加える。

「ハリスは一度向こうのに潜入していたのよ。」

「そうなの?!」

「おお。たっぷり爆薬仕掛けてきたぜ~」


ケラケラと笑うハリスを見て、なんだか雫は脱力した。
なんだろう。この緊張感の欠片も無いムードは……。

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