17歳の不良と6歳の殺し屋
「それで、今度は何の用?…まさか、また殺しの依頼?」

雫は軽く問いかけた。後ろの右手にはナイフを握って。

「…フフ、そんな殺気立たなくていい。…話があって来たの。」

「話?」

雫は素早く後ろのベルトの裏にナイフを隠した。

「そう、大事なね…そういえばあの母親はどうした?」

「どっかに隠れてるよ…」

「どういう事だ?」

ハリスが身を屈めて雫を覗き込む様にして見てきた。
そんなハリスに雫はチラリと流し見ながら頭を掻く。

「そのまんま。あの日から完全にビビッちゃってんの」

ハリスはあからさまに言っている意味がわからないといった顔をした。

「そういえば、母親には精神異常があったはずね」

「…なんか、翡翠って仕事っていうの…?そういう時とそうじゃない時って別人だよね」


「そう?」


翡翠は小首を傾げる。キョトンとする顔に雫は自分の言葉に確信を持った。

「言葉遣いも少し違うよな~」

ハリスも笑いながら言ってくる。それに少し唇を尖らせた翡翠は「話を逸らすな!」と雫を睨んで来たので、母親の話しに戻すことにした。
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