17歳の不良と6歳の殺し屋
「10年前にある事件があってね。その日から母さんは精神異常者になっちゃったんだ。子供に戻った感じ。」
「退化か…隠れるっていうのはどういう事?」
「その事件のせいでね、人が怖いんだよ。マスコミや警察なんかは特に。」
「成る程」
「…その事件って日本でいうヤクザ?」
翡翠の言葉に雫は目を見開いた。
「どうして…」
「なんとなく」
驚く雫に翡翠は冷静に応えた。
雫は口をパクパクと何か言いたいのに言えないもどかしさに浸って、それからキュッと唇を噛んで「お茶を持って来る」と言って部屋を出て行った。