17歳の不良と6歳の殺し屋
シンッ…と静まり返る室内。沈黙を破ったのは以外にも翡翠だった。

「…驚いたわ」

「何がだ?」

先ほどの母親の件はまぁそうだったんだ、と思う程度で言うほど驚く事ではなかった。
しかし、翡翠は面白そうに口の端を吊り上げている。

「この親子は本当に私を驚かせてばかり…飽きなくていい」

「だから、何に驚いてるんだよ」

少し拗ねたようにハリスが翡翠に言うと、翡翠は笑みを浮かべたままハリスを見上げた。


「気付かない?何も感じない事に」

「何も感じない?」


ハリスは訳がわからない。と両手を広げた。

「窓から入って来た私達をどうして雫は気付いたのかしら?」

「そりゃ、気配を感じたからだろ」

「私達、殺し屋よ?あの子は女子高生。」

「え…まぁ、そうだけど…けど」

「そして、何より何も感じない」

「だから…!!」

翡翠は口に人差し指を当ててハリスを黙らせる。



「何も感じないのよ…母親の気配が。」


「……そういえば!!」


確かに一階から、雫のいる気配を感じる。この家に人がいる気配。だが、隠れているという母親の気配はどこにもない。

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