17歳の不良と6歳の殺し屋
(1、2,3,4、…)

頭で数をかぞえていく。
誰もいなかった通りに人が増えていく。

(7、8、9、…)

けして、雫の前にその姿はなく後ろに多く存在した。
雫はこの先の角を曲がったら塀に飛び乗ってしまおうと思っていた…だが。

「…マジ?」

目の前に不良共がズラリと20人ほど綺麗に横に並んでいる。
確かにここは広い通りだが、これだけ人間がいると流石に狭く感じる。
後ろも同じような状況でまさしく逃げ場がないって所だ。
柄の悪い群れの中、黒いスーツに黒いサングラス、切り揃えられた黒髪の男が一歩前へ踏み出て来た。
余りにベタな姿に雫は思わず顔を引きつらせた。

「ここは、余りに狭く人が多い。少し付き合っていただけませんか?」

落ち着いた、淡々とした丁寧な言葉が雫の耳に届く。
何かが沸々と腹の底からわき上がって来るのを感じた。
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