イケメンゴースト
★夏☆☆
私は泣きながら夏の手を握りしめた。
「…っ!?」
すると、
まだ暖かくはないけど
冷たくなくなった夏の手が握り返してきた。
「な…つ?」
夏はうつろな瞳で私を見てくる。
「あ…ん。泣いてるの…?」
「…ううん。泣いてなんか」
握っていた手を離して、
夏は私の涙を拭ってくれる。
「大丈夫?痛くない?」
「まぁ痛いけど…杏が居なくなるよりはまし」
なんで…なんでそんな切ない顔して
“居なくなる”なんて言うの?
私は絶対居なくなったりしないよ。
ずーっと夏の隣に居るよ。
「俺ね、本当は検査してる時から
意識戻ってたんだ。
…でさ、杏が泣いてるのも知ってたし
母さんが泣いてるのも
なんとなく予想がついてた でもさ…」
「でも?」