ココとマシロ
そして“マシロお願い”と、ココがもう一度口にしようとしたその時だった。
「…しょうがないなぁ」
マシロは、溜め息と共に小さく呟く。
「ココの頼みなら、やらない訳にはいかないよ」
そう言ったマシロはしぶしぶといった様子を見せていたが、本当はココに頼りにされて満更でもないのであろう。先程までゼロにほぼ等しくなっていたマシロのやる気が出てきた事に、直哉はすぐに気がついた。
篠宮サンが居るからあれだけど、なんてゆうか本当…素直で分かりやすい奴だよな、マシロって。
鬼は本来そうゆうものだ。思いのままに生きるのが彼ら、鬼。つまり、それを踏まえた上で今の現状があるという事。
ココ以外のものには興味が無いため、他の事ならばやる気なんてさらさら起きない。でもそれをココに頼まれたとしたならば、ココのためにしてあげられるとしたならば…きっと、それがやる気に繋がる理由になるには十分なのだろう。
自分の気持ちに素直に生きる彼らだからこそ、より分かりやすく見えてくるその思考回路。
鬼をそこまで動かすなんて…それは、篠宮サンの人間性だからこそ成されるものなのか。