ココとマシロ
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「ココちゃんがいない」
駆け寄って来た笑華は表情とは裏腹に囁くような声で言った。
どういうことだと直哉は聞き返そうとしたが、笑華は静かにするようにと自らの口に指を当てる。
「なんとなくいるかもしれない所は思いつくんだけど、だとするとちょっと騒ぎになるとまずい」
「いや、騒ぎになるとって、んな大袈裟な。トイレにでも行ってんじゃねーの?今片付け終わったばっかなんだから、」
「だーかーらー、その前からいないんだっつーの。じゃなきゃ気にしないわ、バカじゃないの?」
「んなっ!おま、バカって、」
「いいから、ちょっと来て!」
そして笑華に引かれるまま直哉は外へと連れ出された。