ココとマシロ
うん…と渋々うなづいたココは扉を開けて、直哉が待つ玄関へと足を運ぶ。
「マシロ、違ったら言ってね。影だったら言ってね、絶対だよ」
ギュッと手を握りしめて訴えるココにわかったよ、と返事をして、マシロは先に階段を下りた。
先にマシロが玄関に顔を出す。もちろんそこにいるのは、いつも通りのいつもの直哉。ちゃんと人間の直哉。
マシロがそれを伝えてもココはなかなか動き出せず、握られたココの手はすごく冷たくなっていた。まるで固まってしまったかのように、マシロの手から離れないーーいや、離れられないのかもしれない。でも…これは、チャンスだ。
「ココ、少しでいいんだから」
マシロに促され、ココはついに出た。
久しぶりの、外の世界だった。