ココとマシロ
教室へ入ったココは、昨日とは違う雰囲気を感じ取る。
昨日はあんなに声を掛けてくれたのに、今日はとても控えめなそれ。こちらから挨拶をしても、全てが遠慮がちで、まるで線の向こう側から覗かれているかのような気分になる。
全てが――そう。まるでココを品定めしているような、そんな様子なのだ。
――この子はどんな子なんだ?
――自分達と同じ?それともやっぱりどこか可笑しい?
――この子敵なの?味方なの?自分にどんな影響がある?
特に女子は小学五年生にもなると、だんだん特定の友人とグループを作るようになり、自分の立場というものの意味合いが大きなものになる。
そんな中でのココという違った存在を、受け入れるべきか、受け入れざるべきか、向こうとしても慎重になっているのであろう。
どうしよう……
早速マシロを呼ぼうかと、ココは本気で悩みながら席に着いた。