ココとマシロ
「…今の僕は、十分な影を吸収した分力が戻っているんだ」
「十分な影…?この間の山のやつか!」
「そう。だから今ならココを“普通”にしてやることが出来る。僕はココにどうしたいか聞いてみるつもりだ。そしてそれを叶えてやりたいと思う」
その言葉だけで、影や鬼に関する知識を持つ直哉は全てを悟ったらしい。
「…おいおい、まさかおまえ…分かって言ってんだよな?それだけの事をしたらおまえ…ただじゃ済まねぇぞ…?」
「あぁ。僕はもうこうして姿を表す事が出来なくなるだろう。消えてなくなるか、それとも小さな分子になり、また形になるまで漂い続けるか…」
「おまっ、何冷静にんなこと言って!おまえがそれでよくてもココはどうすんだよ‼おまえはココを独りにすんのか!」
「だから君に頼みに来た」
「だからオレにってっおまえ!何も分かってねぇよ!おまえがどんだけココにとってでかい存在か、」
「ココを変えてやれるのは僕だけだ。今しかない、こんなに力が戻るなんて、こんなチャンスはもう二度とないといっても過言ではない。どうするかはココが決める事だ。君でも僕でもない、ココが決めるんだ」
「ーーだからってっ、……まぁ、もうどう言ったって聞かねぇんだろうけど…」
そう呟くと直哉はグッと目を瞑り、何かに耐えるように拳に力を込めてギュッと握りしめた。