ココとマシロ
××
そっとココの待つ部屋へと戻ったマシロ。姿を表した瞬間、聞こえて来たのはすすり泣く声だった。
「ココ…」
背中を丸めて膝を抱え、小さく震える身体はなんとも頼りなくーーそれは、マシロの決心を揺さぶった。
「ココ、どうしたの?」
「ま、しろ…っ」
顔をあげるココの真っ赤な瞳と目があう。その瞬間、ココは飛びつくような勢いでマシロに抱きついた。
「いっ、いなくなったかとっ、思ったっ‼」
しゃくりあげる腕の中のココにマシロが「そんなわけないよ」と、頭を撫でてやると、よりいっそう声をあげてココは泣き始める。
…弱々しい姿。僕は本当に…この子の傍を離れられるのだろうか。
自分の心に問いかけながら、マシロはココが泣き止むまでずっと、優しく背を撫で続けた。