ココとマシロ
「嘘がつけてたらココはこんな事になってないっての…」
「うん?」
「いや、なんでもないんだけどさ」
そして「証明ねぇ…」と、マシロは考える。
相手が一度も経験した事の無い事を理解させるのは難しい。
これからの生活の中で起こりうる出来事ならまだしも、コレに至っては生涯経験する事の無いものと言っても過言では無い訳だ。それを信じさせるのは…正直無謀だとも思う。
どうせそうゆう奴に限って "自分の目で見た物しか信じない" とか言うんだ。目で見える物なんて限られているのに。
「…見えないんだから、説明するしかないんじゃない?」
「説明?」
「うん。ココが見ている物を詳しく教えてあげれば?嘘じゃないからリアルな詳細が説明出来るんだって事でさ。向こうが求めてる物とは違うかもしれないけど、結局それしか無いんじゃないかな」
「……うーん…」
そして、「説明かぁ…」と何度も呟くココは、珍しく難しい顔をしていて、マシロは悪いなと思いつつも少し笑いそうになったりした。