ココとマシロ


ココが今通っている小学校では、たいていの児童が高学年になると同時にランドセルをやめて、それぞれの好きな鞄に変える。

ココは五年生になると同時に転入して来たためこの風習を知らず、転入以前からずっと使用していたランドセルで登校し、クラスメイトから「それでもおまえ、高学年か?」と、転入早々からかわれてしまったのである。これがつい昨日の話。

昨日の帰宅後、すぐに久代経由で両親に頼み込み、買いに行ったのは言うまでもない。


「わー、かわいー!」


ココの茶色い横長の鞄は背負うタイプの物で、大きめのクマのキーホルダーがついている。

ランドセルほどガッシリした物では無いのだが、ココの身長が平均より小さい事から、この鞄すら大きく見える。


そんなお気に入りの鞄を背負って、鏡の前でクルクルするココに、マシロが掛ける言葉は決まっていた。


「時間、良いの?」


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