ココとマシロ
「おはよう!久代さん!」
「あら、おはようココちゃん。今日は随分ゆっくりなのね」
ココの慌てた様子を見ても動じず、久代はいつもの調子で答えた。
久代はこの家の家政婦であり、仕事上、普段家を留守にしているココの両親に代わって、ココの世話をしてくれている中年女性。
とても優しくて温和で良い人。
良い人だが――
「…久代ってさ、そうゆうの本気で言ってるのかな」
――少し、抜けている。
「ダメだよマシロ!久代じゃなくて久代さんでしょ!」
そう言って「いただきます!」と朝ごはんを急いで食べるココの言葉で、「あら、マシロ君も居るのね。おはよう」と久代はマシロに挨拶する。
「………」
「久代さん、マシロこっちだよ」