ココとマシロ
“同情してるだけ”
“可哀想”
その言葉もまた、初めて与えられた言葉だった。
バカにされたり嫌われたり、そんな事はしょっちゅうあったし、ある程度の耐性もついていた。それにそうされても仕方が無いという諦めもついていたのだが…今回のこれは違う。
可哀想は、ココの事。可哀想だと思われている。ココはーー可哀想。
そんなの、認めたくなかった。
惨めだった。
するとその必死の訴えに、美波は「可哀想だよ。篠宮さんは可哀想」と、余裕の笑みを浮かべて告げる。
「だって友達居ないじゃない、変だから。笑華も話してくれなくなったんでしょ?」
その言葉に、ココはハッとした。確かに、笑華とは朝以降話をしていなかった。避けられてすらいたように思った。それはやっぱりそういう事で、美波の言葉は何一つ間違っていないのだと証明されたようなものだと思った。
…そうか、ココは可哀想なんだ。だからマキ君が声を掛けてくれるんだ。ココが変だから、エミカちゃんはココの事嫌いになっちゃったんだ…
ココは悲しくなった。全て美波の言う通りだと思ったから。ココには誰も居ない。友達なんて居るはずがない…
と、その時。ココは重さを感じ始めた自分の身体に、自分についている影が更に大きくなった事が分かった。反射的にやばいと感じる。このままじゃいけない、このままでは飲み込まれてしまう…しかしそこで一つ、不思議な事に気が付いた。
…あれ?ミナミちゃん笑ってるのに、なんで影が大きいままなんだ…?
ココに向かって嫌味な笑みを浮かべる美波。言いたい事が言えてスッキリしたのではないかと思ったのだが、今見てみるとその影の大きさは、何故かココのものと同じぐらいの大きさをもっていて、今にも限界を迎えそうな所まで来ていた。