ココとマシロ


ジッと、ココは美波を観察する。どうしてだろう、なんでだろう、今のココの頭の中には自分の事よりも何よりも、それだけが巡っていた。

一つ気になるとソレだけになってしまうのがココ。それが特に影の事となると尚更だった。


「ミナミちゃ、」

「なのになんなの?なんでなの?」


その言葉で、どんどん大きくなる影。
ココのものより大きく大きく、凄まじいスピードで成長していく。


「なんでこんな篠宮さんなんかにっ!」


言葉が核心をついた瞬間、影が美波を覆い隠すようにその影が動き出した。あぁ、もうだめだ!もうこれは耐えられなくなる!


「ミナミちゃん!」


慌てて美波を止めようとした、その時だった。


「ねぇ、何やってんの」


その凛とした声で、ピタッと、周囲の動きが止まった。


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