ココとマシロ


「…ま、そんな事どうでもいいや。僕はココを連れて帰らないと」


そう言って、マシロは眠るココを抱き抱える。すでに興味は目の前の人間からココへと向けられたみたいだった。

そしてそのまま帰ろうとしたマシロだったが、もう一つ。「あぁ、そうだった」と、言い残した事がある事をココの寝顔を見て思い出した。


「僕がこうやって出て来た事、誰にも言わないって約束して。もちろん、ココにも」


その言葉は二人へと向けられたもの。それに今もなお睨み続ける直哉に変わって、笑華が答える。


「…別に良いけど……なんで?あたし達が見たって言えば、ココちゃんも楽なんじゃない?」


そんな笑華の提案に、マシロは首を振った。


「負担になるって言っただろ。分かるよね?そこの君」


「――君も、見えてるんだろ?」


そう問い掛けられた直哉が問いに答える事は無い。

直哉はジッと、空気の中へと溶け込むように消えていくマシロをただただ睨みつけるだけであった。

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