ココとマシロ
3.大事なもの無くしちゃった
「……マシロ。本当に、何も無かったんだよね?」
「うん。ココが心配するような事は何も無かったよ」
「ココ、気付いたら寝ちゃってて…本当に、エミカちゃん何も言ってなかった?」
「うん。驚いてたみたいだけど、ココの事は何も言って無かった」
「……うーん。そっかぁ…」
マシロはココに嘘をつかない。今だって嘘は一つもついていない。でも、嘘をつかない代わりに――
「…そうだよねぇ。マシロの事見えないのに、話せる訳ないもんねぇ」
――上手い言い回しでココを丸め込む事は、ちょくちょくある。
よく考えれば、可笑しな部分はあるのだ。
突然消えたココに対して何の反応もしない訳がない。しかも消えた後の事なんて、その場に居ないマシロにだって分かるはずがない。
それに心配するような事は無いだとか、ココの事は言って無いだとか、ピンポイントでしかマシロは答えていない。