ココとマシロ
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驚きのあまり慌てて逃げて、向かったのはいつもの図書室。
中へ駆け込むなり、祐子は一番奥の席に腰を下ろした。ここがいつもの彼女の指定席なのだ。
放課後の誰も居ない図書室。ひんやりとした空気が漂うようなこの祐子にとって慣れ親しんだ空間で、祐子はやっとほっと一息つく。あぁ、でもビックリした…まさかこんなことになるなんて。
篠宮さんに、話し掛けられるなんて。
そんな事を思い出したらまた心臓が活発になり始め、祐子は落ち着かせるためにスカートのポケットへと手を入れる。そこにはいつものアレがある。そう、私の大事なアレが――…
………あ、れ…?
「な、――無い!!」
指先にはポケットの底が触れている。
何をどうしようと、その中身は空であった。