ココカラハジマル
そこはどこか温もりのある
コーヒーの香り。
でも人はいなくて…
薄暗くて暖かいランプのある店内
四人席の机がふたつとカウンター
席は少ないけれど
狭苦しくなくて広いところが
冷たさも感じさせた。
ここでも一人かあ…
たたずんでいる私
「すみま…せ…?」
『ちょっと、かなめーどういう事? ねえ、聞いてるの?』
びっくりしたー…
若い女の声。甲高く怒っているようだ。
『もういい!帰る。終わりだから!』
女が叫ぶ。
『もとから始めてないよ?』
優しく冷たいとげのある声。
それは逆に女をさらに挑発したようだ。
男女の喧嘩かー…?
やっぱり失敗した。
出よう、帰ろう。
夢も光もない我が家へ。
女が出てきた、