*恋の味[上]*【完】
「今、何時ー?」
砂の城も、水をかけずにしたらサラサラだからできないし、水をかけたらかけすぎでドロドロになる。
なんか、恋愛みたい。好きの重さみたいな?
ま、私にはよく分かんないけど。
作るのに何度かチャレンジしたけど、もう飽きた。
だから、暇そうな雷斗に聞いた。
「3時」
3時かぁ……。
「もう帰んない?暇になってきた」
多分、普通のカップルなら暗くなるまでイチャイチャするよね。
普通じゃないから。私達。
大人の付き合いだと思っていただきたい。
「あぁ、真田は無理だろうから他呼ぶ」
いいね、お金持ちって。
我が儘しほうだいに見える。
「俺だ、迎え頼む。……真田?アイツは無理だ。……まだここにいさせてやれ。……あぁ」
まだここにいさせてやれって真田さんをだよね?
優しいじゃん、何気。
「すぐ来る」
は?こないでしょ。
普通に遠いよ?ここ。
「雷斗様、真麻様。お迎えに上がりました」
…………早っ!
え、どういうこと?!
まさか、どこでもドア使っちゃった?!
「何考えてんだか知らねぇけど、コイツは来てたぞ?真田のことだから不安だったんじゃねぇの」
「さすが雷斗様。鋭いですね」
当たりなのかよ。
にしても、本当頼りにされてないんだね、真田さん。
お疲れ様です。
「では、外に止めてありますので、参りましょう」
私、水着なんだけど。