*恋の味[上]*【完】


「今、何時ー?」

砂の城も、水をかけずにしたらサラサラだからできないし、水をかけたらかけすぎでドロドロになる。

なんか、恋愛みたい。好きの重さみたいな?

ま、私にはよく分かんないけど。

作るのに何度かチャレンジしたけど、もう飽きた。

だから、暇そうな雷斗に聞いた。

「3時」

3時かぁ……。

「もう帰んない?暇になってきた」

多分、普通のカップルなら暗くなるまでイチャイチャするよね。

普通じゃないから。私達。

大人の付き合いだと思っていただきたい。

「あぁ、真田は無理だろうから他呼ぶ」

いいね、お金持ちって。

我が儘しほうだいに見える。

「俺だ、迎え頼む。……真田?アイツは無理だ。……まだここにいさせてやれ。……あぁ」

まだここにいさせてやれって真田さんをだよね?

優しいじゃん、何気。

「すぐ来る」

は?こないでしょ。

普通に遠いよ?ここ。

「雷斗様、真麻様。お迎えに上がりました」

…………早っ!

え、どういうこと?!

まさか、どこでもドア使っちゃった?!

「何考えてんだか知らねぇけど、コイツは来てたぞ?真田のことだから不安だったんじゃねぇの」

「さすが雷斗様。鋭いですね」

当たりなのかよ。

にしても、本当頼りにされてないんだね、真田さん。

お疲れ様です。

「では、外に止めてありますので、参りましょう」

私、水着なんだけど。


< 105 / 260 >

この作品をシェア

pagetop