*恋の味[上]*【完】
−夢の中−
……――ここはどこ?
周りは真っ黒。光さえも見えない。
『真麻』
?声がする。
『真麻』
優しい声。そして懐かしい声。
『真麻』
後ろを振り向くと、まだ若い男の人が立っていた。
めちゃくちゃ格好いい。
それに綺麗な金髪……。染めたように見えない感じ。なんてゆーか、サラサラ?って言っても染めたんだと思うけど。
『誰?』
『誰だろうな』
なんでこの人は、そんな哀しげな表情を浮かべるの?
『真麻、幸せか?』
『え?……うん』
『そうか。それならいいんだ。……お母さん…麻美(アサミ)さんを頼んだぜ』
麻美とは私のお母さんの名前。
すると、彼の体が薄れていった。
『ちょっと待って!貴方は誰なの?』
彼は優しく微笑んだ。
『空真(クウマ)。……真麻のお父さんだ』
『お父…さん?』
『あぁ。…真麻はお父さんが嫌いか?お父さんは、真麻に会いたい』
そう言って消えていった。
周りが黒から白変わり、光につつまれた。
お父さん……貴方が私のお父さんだったの?