*恋の味[上]*【完】


その間、私は朝食を作ることにした。

といっても、時間は11時。

昼食といってもいい。

簡単なもの、チャーハンでいっか。


そういえば……私、裸見られたのに、よく自然体でいれるなぁ。家族でも身内でもなく、“彼氏”なのに。

自分が自分を不思議でしかたない。

ま、いっか。気楽だし。

普通の女の子だったら、

『恥ずかしぃー。もう顔みれなぁい』

とか、

『女磨きがんばらないとぉー』

とか、キャピキャピしてるもんだよね。

うぇ……気持ちわるっ!

女の子って感じ、私には似合わないなぁ。

「サンキューな」

あ、もうでたんだ。

「いえいえ、どういたしまして」

雷斗ん家お金持ちだから、ボロ風呂は気持ち悪かっただろう。だから、早かったんだと思う。少しだけど。

でも、嫌そうな表情一つ出さなくて……そんなところは紳士なのに。

「なに?チャーハン?」

「そーだよ」

よかった。チャーハンに見えるらしい。

っていっても、一人暮らししてるから家事はオッケーなんだよね。

「うまそーじゃん?」

「お楽しみ!」

こうしてると、新婚さんみたい。

って、私何考えてんの?!

「真麻、炒めなくていいの?」

「へ?」

フライパンをみてみると、

「ぎゃぁぁぁ!」

黒い煙があがっていた。

がびーん。

「ごめ……スミマセン」

ここは、“ごめん”じゃいけないと思ったから、“スミマセン”を使っておいた。

しっかりしなきゃ!


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