*恋の味[上]*【完】
「……そういえば、どこに向かってんの?」
適当に歩いてる私たち。
意味もなく歩いたら、足が痛くなるだけでしょ。
「適当」
でた、適当。
あなたの場合“適度”ではなく、“とりあえず歩いとけばなんとかなるっしょ〜”みたいな考えでしょ。
その漢字を使わないでいただきたい。
どうせなら、カタカナで頼む。
「いちいち自分の世界入りすぎ」
はっ!
あなたの存在忘れてました。
「あのねぇ、私の世界…を……って、何アホっ面してんのよ〜」
驚きを隠せてない顔だ。
「おい、アレ見ろよ」
なんだよ〜、と思いながら雷斗の視線を辿っていくと……
「うぁ…アリ…もぅん?!」
そこにはアリもんと可愛い女の人がいた。
え、まさかの彼女?!
アリもんに?
あの毒舌が……世の中おわってる。
「話に行くのか?」
コイツはKYだ。
正真正銘のKYだ。
「いくわけないっしょ?!邪魔よ!ウィーアー邪魔!」
「はいはい」
恋人の間を割ってはならぬ。陰で応援するものだ。
さっ、どうだ?!
「ははは」
「お前、入試絶対カンニング」
そうそう、カンニング。
筆箱からチラッと、「あら紙さんこんにちは」ってちがうわ!
「してないやい!」
どうして、ここまできて勉強の話なのか……ハァ。