*恋の味[上]*【完】
「もう帰ろー?」
「は?花火はじまったば…「ナンパ」
「だから、やめ…「ナンパ」
「最後ま…「ナンパ」
ナンパ攻撃をする私。
雷斗がため息をついた。
「勝手にされてろ」
そういうと、握っていた私の手を離し、人混みの中に入っていった。
嘘、どうしよ……。
「お姉さ〜ん。って、めっちゃ可愛いし!俺ら超ついてるな!今日」
雷斗が去ってから、すぐ来た男。
「え、なんで泣いてんの?」
……え?私泣いてる?
「……す…みませ…ん。…大好…きな…彼氏…いるんです」
泣きながら、吃りながら言う私に戸惑う男共。
「じゃあ、俺らが慰めてやるから。な?こっちおいでよ」
ナンパ男が私の手を掴む。
「いや!お願い、離して!」
「無ー理。大人しくついてきなって」
やばい状況。本当にやばい。
「お前さぁ〜、何してんだ?俺の女によ。殺されてぇの?」
私の後ろから来た雷斗。
「はっ、お前の女?泣かしといて何いってんだよ」
「あ?こっちの話に首突っ込むんじゃねぇよ」
雷斗の殺気にビビっていくナンパ男。
「チッ、うぜぇ。んな、泣き虫女いらねぇよ」
海のときみたいな男。
情けない。
今度は、ナンパ男が人混みの中に入っていった。