*恋の味[上]*【完】
「ねぇよ」
けど、口調は変わらない。
「んふふ……あらそう」
もう貸す気なくなったからね。
前を向くと、こちらを睨んでいる雷斗氏。
ありゃまー。
松川を見ると、無視。
千年を見ると、無視。
暁、無視しようぜ?そこは。
ヴーヴー
突然なるバイブ音。
ま、まさか……
<話すな>
束縛かよ。てか、短っ!
<だって隣なんだから仲良くしたいじゃーん>
<ダメだ>
は?え、ウザ。無視しよ。
で、前を見ると、ニコーと笑っている雷斗。
うん、しほちゃんは可愛いけど、雷斗は黒い。
だから、私も負けじと黒い笑顔を返した。
その姿を倉橋くんが見てたなんて、知りもしなかった。