*恋の味[上]*【完】


チャイムが鳴ったと途端に雷斗がこっちに黒い笑みを浮かべながら歩いてきた。

めんどくさそうな予感。

こうなったら……逃げるしかない!

「由良ー……ぐえっ」

桜野真麻、見事に失敗しました。

「真麻ちゃーん、ちょっといい?」

「い、今?ちょっと忙しいかな?」

確実にヤバい。

由良は一緒にいた千年くんとニヤニヤしてるし。

助けようよ、そこ。

予想通り、私の考えは甘かった。

「いいから来いよ」

私の手首を力強く引っ張る雷斗。

かなりのご立腹で。

「いってらっしゃ〜い」

由良……この薄情者。

「い、い゛たい!分かったから!離して!」

思い切り掴むから痛い。

すると、少し力を弱めてくれた。

教室を出ると止まった。

「お前の彼氏は俺だよな?」

切なそうに言う雷斗。

「うん……」

「だったら……そんな仲良くしてんなよ」

雷斗はいきなり人格変わるから困る。

私まで苦しくなるんだもん。


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