*恋の味[上]*【完】
「アイツに…お前をとられたくない」
そう言って、強く抱きしめてくる雷斗。
「私は…雷斗から離れないよ」
私も強く抱きしめた。
雷斗の温もりを感じる。
「雷斗……?」
全く動かない。
頭だけ離して、雷斗の顔を見てみる。
また眉間にしわがよっている。
ある一方を見つめて。
「雷斗?」
ハッと気づいた雷斗は慌てて力を緩めた。
「どうしたの?」
「……あぁ、なんでもねぇ」
嫌な予感がする。