*恋の味[上]*【完】
「…ってぇ」
た、叩いちゃった……。
私ってば何をしてるんだろう。
「真麻、謝りなさい。いくらなんでも暴力はダメと何度も言ってる筈よ」
ぐっ……。
「ごめんなさい。…でも話すことなんて1つもないわ。私は話したくない。じゃあ」
そう言い残して病室をでた。
「真麻!」
と、また呼ぶ声がしたけど。
今回は無視させてください。
私は屋上へと足を進めた。
つくと、そこは綺麗な青の快晴で包まれていた。
ここは私の小さい頃からのお気に入りの場所。
お母さんが病室を離れることがあって、私とも離れないといけない時間には、しょっちゅう来ていた場所。
ねぇ。倉橋くんは、どのくらい私を傷つければいいの?
もうさんざんでしょ?
「お父さん…」
今なら、会える気がする。
いや、会って話がしたい。
あれはきっと、私とお父さんのテレパシーなんじゃないかな、と思う。
お父さんは、きっと何かを知ってる。
倉橋くんなんかから聞くよりかはずっとマシ。
それに、どっちかっていうと都合もいい。
どちみち会わないといけなかったから。
お父さん…、なにがあったの?
私は、どうすればいいの?