*恋の味[上]*【完】


「それでも俺は反抗したよ。麻美は俺のたった1人の大切な人だったからな」

お母さん幸せだっただろうなー。

お父さん顔はかなりのイケメンだし。

「それから突然「別れろ」とは言われなくなった。ただ、最後に言われた言葉は「俺を嘗めるな」だった。その時の俺は深く考えてなかったから無視したんだ。……あの時、俺が無視しなければあんなことには!」

お父さん……っ?

必死に悔やんでいるその姿を見て、胸が痛くなった。

その次の発言が私の胸を刺した。

「麻美は……お母さんは……


――襲われたんだ」

…………え?

……なに、それ。

「大切に、傷つけないように。そう思ってきたのに…。麻美は悪くないのに!」

お母さんが……そんな目にあってたなんて…。

「…あっ、お客様!」

店員さんの焦る声が聞こえる。

「……あっ」

お父さんがそれを見て少し驚いてた。

んー、何?

そこには……倉橋くんたちが息を切らせて肩を上下に揺らさせている姿が見えた。


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