*恋の味[上]*【完】


「さっきの続きだが……」

あ、すっかり暴走族の方に気がとられてた。

みんなして座りなおす。

「襲った奴は……暁グループの下と藍川グループの下の奴だった」

顔が強ばる。

「気づいた時は遅かった。麻美は病院に運ばれてたよ」

嘘……。

「俺は親父たちの仕業だと思った頃から荒れはじめたよ。酒やタバコ、喧嘩。すべて始めた」

お父さんがそんなことを…。

「それをずっと続けていた。抑えれるときがあるとしたら…麻美の病院にいるときだった。でも顔を見ると怒りが込み上げてきて、すぐに病院からでたよ。それが何年も続いた」

…………。

「苦しかったなー。そんなとき、蘭王の4代目総長にあってよー、誘われたんだよ。「俺らと頑張ってみねぇか」って」

救われたんだね、その人に。

「俺はチームに入って、やっと落ち着いたよ。そんときに入ってきたのが中学の頃の蒼空でよ。最初見たときは昔の俺みてぇだったよ」

ケラケラ笑う。

倉橋くんは小さく笑った。

「コイツ、誰に向かっても生意気でよ。嫌う奴もいたけど、俺は気に入った。しつこく構ってるうちに懐いてきてさ。麻美の病院に連れてきたんだ。麻美も気に入って、しょっちゅう2人で見舞いきてたよ。もちろん、麻美が入院してる理由も知ってる。で、俺が6代目になって、7代目の奴に「蒼空がしっかりしたやつになったら総長させろ」って預けたわけ」

預けたって……。


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