*恋の味[上]*【完】


「すまない、真麻。もう聞きたくないか?」

お父さん……そんな哀しそうな顔しないでよ。

だって雷斗は、もう知ってるんでしょう?

納得したの?それでいいの?

私たちの愛は……その程度のものだったの?

聞きたいけど聞きたくない。

不安だけが私を襲う。

「麻美は、暁雷斗が嫌いなわけじゃない。お金持ちが嫌いなんだよ」

そんなことわかってる。

「俺も裕福な方だ。離婚した原因はそれに値する。麻美はお金持ちとでは、幸せになれないと思ってるんだ。真麻、麻美の気持ちも理解してやってくれ」

「お母さんの気持ちは分かったよ。でも、私と雷斗は違う!絶対幸せになる!」

「俺もそう言った!結局無力だった!俺は麻美を助けることができなかった!」

「………っ」

もう無理なの?

私たちの誓いも無力なの?

嫌だ嫌だ嫌だ……!

私はその場から離れるように、Cafeから出た。

座ってなかったし、外側にいたから雷斗に捕まることもなかった。

恋がこんなに辛いなんて……思ってもみなかった…。


< 179 / 260 >

この作品をシェア

pagetop