*恋の味[上]*【完】
「すまない、真麻。もう聞きたくないか?」
お父さん……そんな哀しそうな顔しないでよ。
だって雷斗は、もう知ってるんでしょう?
納得したの?それでいいの?
私たちの愛は……その程度のものだったの?
聞きたいけど聞きたくない。
不安だけが私を襲う。
「麻美は、暁雷斗が嫌いなわけじゃない。お金持ちが嫌いなんだよ」
そんなことわかってる。
「俺も裕福な方だ。離婚した原因はそれに値する。麻美はお金持ちとでは、幸せになれないと思ってるんだ。真麻、麻美の気持ちも理解してやってくれ」
「お母さんの気持ちは分かったよ。でも、私と雷斗は違う!絶対幸せになる!」
「俺もそう言った!結局無力だった!俺は麻美を助けることができなかった!」
「………っ」
もう無理なの?
私たちの誓いも無力なの?
嫌だ嫌だ嫌だ……!
私はその場から離れるように、Cafeから出た。
座ってなかったし、外側にいたから雷斗に捕まることもなかった。
恋がこんなに辛いなんて……思ってもみなかった…。