*恋の味[上]*【完】
「……え…」
スラッとした長身に、茶色の緩くパーマのかかった髪。シャープな輪郭。キリッとした眉に、見透かすような青い目。
「久しぶり、真麻」
「……しょ…う…」
「覚えてたんだ」
昔よく遊んでた子、峰内 翔(ミネウチ ショウ)だった。
覚えてたもなにも……こんな格好いい顔忘れないよ。
昔は可愛かったのに、今となっては格好いい。
「相変わらず可愛いね」
ニッコリ笑う姿はホストに見える。
「女扱いが上手いこと」
「鈍感」
ドンカン?鈍感?
鈍感って失礼じゃない?
「こうみえて頭いいんですよ」
「うん、知ってる」
知ってる?
「俺、彗驪だから」
彗驪って、彗高?!
し……翔が彗高?!
「俺もこうみえて頭いいんだよね」
スマイルフェイスの翔に少し苛つく。
「てめぇ……ざけんなっ」
あ、この人たちのこと忘れてた。
「ははっ、喧嘩売ってこない方がいいんじゃない?」
クスクス笑いながら、ナンパ男に微笑む。
「あ?」
意味が分からないらしい男に、翔は首につけてるネックレスを見せた。
「…おっ、お前!峰内翔!」
あれ?ネックレスで分かるんだ。
「す、スイヤセンでしたー!」
すぐ後ろを向いて帰っていった。
?この銀のネックレスの何が怖いんだろう?
「翔……何もの?」
不思議に思った私は、勇気をだして聞いてみた。
「ん?日本人」
…………。
馬鹿じゃないの?コイツ。
「あはは、嘘だよ。そんな顔してたら可愛い顔が台無しだよ」
台無しですか…。
このヘラヘラさ、ムカつくなぁ。
「俺はねー、蘭王8代目副総長だよ」