*恋の味[上]*【完】
「ま、あさ?」
……この声は…、
「雷斗…」
とても哀しそうな顔をした雷斗が息を切らせて立っていた。
この雰囲気で来ますか……。
今の私は、翔に髪をわさわさされてるとこだった。
「なに?知り合い?」
あ…、翔は何も知らないんだった。
雷斗はこっちにズカズカとやってきて、
「彼氏」
と言って、私を自分の方に抱き寄せた。
彼氏…。彼氏という特別な存在がいる中、私は貴方を傷つけてばかりだね。
ごめんなさい。
私は雷斗を幸せにできない。
幸せにさせてやれない。
お母さんとお父さんの話を聞いてどう思った?
さぞかし、苦しかったでしょう。辛かったでしょう…。
そうとしか思えない。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
そのとき、私は決意をした。