*恋の味[上]*【完】


地べたに座り、半いじけの雷斗。

「彼女が他の男を友達として好きって分かってても、直で言われるとなんか焦る」

苦笑いをしながら頭をかく。

え?だって好きなもんは好きって言わないと。

普通じゃないの?

「私が翔を嫌いって言えばいいの?」

嫌いじゃないよ。好きだよ。

でも、雷斗の辛い笑顔を見るくらいなら嘘だって言えるよ。

「そうじゃねーよ。……何度も言わせんな。真麻がとられそうで怖いってわけ」

「それとこれがどう繋がるわけ?」

必殺!“わけ返し”をしてみる。

「アイツ男だぞ?だから全部繋がるわけ」

うわっ“わけ返し”された!

……じゃなくて、男ってくらい知ってる。

全部って理由になってないし…。

「はー、もういい」

……なにそれ!

私だけ分かんないなんてヤダ!

「理由をちゃんと言って!」

「どんなやり方でもいい?」

急に変な笑いに変えてきやがった。

でもー、知りたいものは知りたいし…。

「ばばっちこい!」

噛んだよ……。「ばっちこい!」って言いたかったのに、「ばばっちこい!」だなんて、“たまごっち”の“ばばっち”ってやつに来いって言ってるみたいじゃん。

“ばばっち”がいるのかなんて分からないけど。

「じゃー、こういうこと」

そう言うと同時に、私の口に温かいものが……。

ん?もの?

…………?!

「ギャー!ハレンチ!」

“バチーンッ”

「ってー!」

あ、“バチーンッ”っていっちゃった。

しかも、時代遅れの“ハレンチ”まで。

あはは……HA…ha……はー。


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