*恋の味[上]*【完】
「真麻っ!」
「ハァ……ハァ…」
どうやら、現実に戻ったっぽい。
「…うぅ……よかった…、まーざあぁぁぁ!」
「由…良……?」
「……うぅっ…やっと目覚ました…」
「ア…カリ…」
「お前……っ」
「ら…いと…」
「あさちゃん……」
「ち…とせ……くん…」
「馬鹿が……」
「く…らはし……くん…」
“ギュッ”
「真麻…」
「…ヒック……お父さぁぁん!」
私は初めてか久しぶりか……、お父さんにしがみつきながら声をあげて泣いた。
「やめろ……もうやめてくれ……」
「…お……と…さん……」
「死ぬなんて……自殺なんてしないでくれ……頼む」
「……ヒック……う、ん…」
「悪かった。ごめん。ごめんな」
「お…と、さん…は、わ……るく……な、い…!」
嗚咽になりながらも言う。
悪いのはお父さんじゃない。
責めないで……。