*恋の味[上]*【完】


聞こえるのは、私と由良とアカリの泣き声だけで、急に静かになった。

そんな空気を破ったのは、お父さんだった。

「なぁ、もういいだろ……。恋愛なんかするな。これからは……お父さんと遠くで暮らそう」

……え?

あまりにも急すぎてびっくりした。

「ここだと駄目だ」

「お義父さん!お願いします、真麻と……真麻さんを僕にください!」

「……暁…、私も同意です!」

「…由良と雷斗と同意です!あさちゃんを…僕たちに任させてもらえませんか?」

み、んな……。

「すまない。行かさせてくれ……」

お父さん……。

私はどうすればいいの?

分からない。

でも、もうみんなには迷惑かけたくない。

だから……、

「みん、な……、いま…まで……あ、りが……とう……っ…」

逃げる道を選びました。

ごめんなさい。

雷斗、愛してくれてありがとう。こんな私を愛してくれて……ごめんねっ。

結局、私は“弱い”。


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