*恋の味[上]*【完】


「ショートとチョコ、どっちにする?」

「ショート」

「やっぱりな」

「バレちゃった?」

「真麻のことはなんでも分かるっつーの」

「ホントにぃ?」

「……多分…」

2人で笑う。

お父さんと笑うなんて…、数ヶ月前の私は思ってなかった。

案外悪くないかも……。

お母さんが亡くなった今、お父さんも凄くツラい筈なのに…。

弱さを一向にみせようとしない。

そんなお父さんを、心から格好いいって思う。

“お父さんだから”…ってお父さんは言うと思うけど、私は“男だから”って思うよ。

そこは尊敬…。

いや、そこも尊敬……かな。

「いただきます」

「どうぞ、召し上がれ」

甘酸っぱい苺は、私にはちょうどよかった。


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