*恋の味[上]*【完】
体育大会<1>
だんだん学校にも慣れてきた今、初めての行事が行われようとしていた。
「今日は再来週にある、体育大会の分担をするぞぉー」
S組の担任、有田なんとか。通称“アリもん”。下の名前がモン吉とかだったりして。
「じゃあ、まず委員から!放送委員・記録委員・集計委員・実行委員………」
あ〜眠い。
「それぞれ男女一人ずつ決めてもらうけど…立候補あるか?」
もちろん、誰もなりたくな「僕、集計やります」いこともなかった。
立候補したのは入試3位らしい学谷くん。通称メガネ。
「おぉ〜学谷やってくれるか!頼もしいな〜」
アリもん、いいクラスもったね。
「学谷がやってくれるなら、学谷よりも上をとった桜野と暁はやるべきだな」
とかいって、早く決めたいだけでしょ。
「えっ暁くんやるの?!なら私やります!」
「ちょっと!私が先に言ったのよ!」
「私よ!」「私よ!」
………あらま。
「桜野さんやるんなら俺やってもいいよ」
「俺がやります!」「俺が!」
………あっれま。
「おぉ〜俺は桜野と暁が生徒でよかったよ」
だから、早く決めたいだけでしょ。
相変わらず騒つく教室。
ここは本当にS組なのでしょうか。
あの、県一の秀才学校のトップクラスなんでしょうか。